CENTER:&size(24){''課題演習 B3'' }; ~ &size(16){ 3回生向けの半期の演習実験です。物質中の電子が織りなす量子力学的振る舞いを学ぶことを目的としており、その最も顕著な例として、マクロな量子現象である超伝導について学びます。特に、「超伝導の電子状態がどのようなものであるのか?」を理解することに注力し、先端実験装置を用いた薄膜素子の作製と極低温実験を通じた分光スペクトルの観測によって、電子対が媒介される機構についての考察を深めます。机上の勉強に留まらない実習により、この先の''卒業研究や大学院での研究において強相関電子系での非従来型超伝導に興味がある学生にも研究の一端に触れる良い窓口になる''ようなアレンジとなっています。}; ~ ''当課題演習B3について、説明スライドが'' [[こちら:http://www.scphys.kyoto-u.ac.jp/education/18ABC/B3.pptx]]''から参照可能です。'' ~ //(wmv形式に変換されています。)~ ~ &size(18){''輪講''};~ 週2-3時間の輪講形式の演習を通して、~ -&size(16){''超伝導現象の基礎''};~ -&size(16){''Ginzburg-Landau現象論''};~ -&size(16){''微視的BCS理論''};~ について取りあげ学びます。特にBCS理論は超伝導の標準理論であり、エッセンスをしっかり押さえておきたいものです。 &size(18){''実験''};~ //下記は過去の実習例です。~ &size(16){''『電子ビームを用いた超伝導薄膜接合素子の作製とトンネルスペクトル測定による超伝導エネルギーギャップの直接観測』''};~ //演習のうち、およそ半分を計測器制御プログラムの構築や、先端装置を用いた素子作製、極低温での物性測定、データ解析などに充てています。~ [[クリーンルーム:http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/index.php?Instruments#uf7ccb4a]]での先端実験装置を用いた超伝導接合素子作製を行います。作製した接合素子については、&super{3};He冷凍機を用いた絶対温度 300 mKまでの温度域においてトンネルスペクトル測定を行い、Dynes関数の原著論文の紹介や実際の実験データ解析などを通じて、超伝導エネルギーギャップが形成される様子を調べます。超伝導ギャップ構造は電子対の形成機構と強く結びついており、[[非従来型超伝導:http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/index.php?Research#res1]]の研究においても非常に重要な概念です。~ CENTER: &ref(http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/image/B3/B3_EB.jpg,320x280,center); &ref(http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/image/B3/B3_Pb-Al.jpg,260x180); ~ ~ これらの実習を通じて凝縮系物理に関する"研究の一端"を体験するとともに、より最先端の研究トピックや実験手法についても織り交ぜていきます。 超伝導という物質科学が示す最もドラスティックな物理現象に関心を持たれた方、是非、当課題演習を選択してみてください。 ~ &size(18){''課題演習B3発表について''};~ ~ + これまでの輪講で学んだ内容をもとにして、イントロダクション (超伝導と準粒子励起)、実験 (薄膜接合素子の作製手法およびトンネルスペクトルの測定)、測定結果、解析・考察、まとめ、のスライド発表をしてください。必ずしもこれと全く同じ構成にする必要はありません。また、各自の分担については任せます。~ + 各自の課題とする物質群について調べ、スライド発表(10枚程度)をしてください。特に、その物質群の構造や電子状態がどのような特徴をもっているのか、何が面白いのかなどなど、イントロダクションで他の聴衆(スタッフではありません)に分かりやすく伝え、そのうえで超伝導がどのように考えられているのかについてを''実験的研究をベース''に調べて来てください。''超伝導の起源、即ち電子対形成をもたらす相互作用の起源を知る大きな手掛かりは、準粒子励起を調べること''にあります。これには輪講で学んだスペクトロスコピックな実験 (トンネルスペクトル/分光) のほかにも、磁場侵入長、熱伝導率、比熱などが挙げられます。これらの実験をもとに超伝導ギャップ (準粒子の状態密度/準粒子励起) がどのようになっているかをまとめてみて下さい。参考図書や文献についてアドバイスが必要な場合、随時質問してもらって構いません。 ~ 他の聴衆に分かりやすい発表に留意しましょう。特に2 では、次第に教科書にはない研究の世界の話に入っていきます。既に分かっていることもあれば、まだまだ分かっていないこともあります。輪講で学んだ従来型の超伝導と比較して、何が面白くて何が謎なのかを強く意識して調べてみてください。 ~ //''前期発表スケジュール''~ //''仮発表: 7月10日''~ //''本発表: 7月18日''~ //''後期発表スケジュール''~ //''仮発表: 第1回 12月26日, 第2回 1月4日''~ //''本発表: 1月16日''~ //1月18日 13:30-'' ~ &size(18){''レポート提出について''};~ 上記の発表を行った内容のうち、1についてをレポートにまとめ、電子ファイルで提出して下さい。余裕がある場合には 2についても記述していただいても結構ですが、あくまで主題は1の実験であり、こちらをできる限り充実させることに努めてください。&color(red){提出にはLaTeXによるレポート作成を推奨};します。(必須ではありませんが[a4j,11pt]{jarticle}、或いは[a4j,10pt,twocolumn]{jarticle}に準拠した形式に努めて下さい。) 参考までに、LaTeXソースは[[こちらの雛形:http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/index.php?plugin=attach&pcmd=open&file=B3_single.tex&refer=%B2%DD%C2%EA%B1%E9%BD%AC%20B3]]を参照し、内容については適宜変更して下さい。 &color(darkred){課題演習は、皆さんが近い将来、卒業研究 (課題研究) や大学院での研究を行うための準備をする場です。これからは、ただ与えられた課題をこなして出てきたデータをまとめるというレポートではなく}; &color(darkred){・その実験の何が重要なのか};~ &color(darkred){・何を理解したかったのか};~ &color(darkred){・何が面白い点なのか};~ &color(darkred){といったことを強く意識し、これらを論文執筆や発表を通じて他者に伝えることも重要になってきます。イントロダクションや議論・考察ではこれらの点に留意し、レポート執筆に臨んでみて下さい。}; ~ //''前期レポート'' //~ //''仮提出: 8月7日 17:00 持参 (その場で修正点などの指示をします)'' ~ //''本締切: 8月9日 13:00 厳守 電子ファイルをe-mailにて提出 ''~ ''後期レポート(暫定スケジュール)'' ~ ''仮提出: 2月2日 17:00 持参 (その場で修正点などの指示をします)'' ~ ''本締切: 2月9日 13:00 厳守 電子ファイルをe-mailにて提出 ''~ 提出は笠原成、およびTA(成塚、谷口、村山)の4名に送信してください。 ~ ''参考図書''~ 実験およびレポートについては~ - 「超伝導物理入門」 御子柴宣夫, 鈴木克生, 培風館. - ''シリーズ 物性物理の新展開 「トンネル効果」, 栗原 進 編, 丸善.'' - ''"Principles of Electron Tunneling Spectroscopy, Second Edit." E. L. Wolf, Oxford Science Publications. '' が参考となります。また、各課題については、ポイントを理解するには - 「超伝導」, 家泰弘 著, 朝倉書店. - 「超伝導入門」, 青木秀夫 著, 裳華房. の後半に参考となる章があります。それぞれの系については、 - 「高温超伝導体の科学」, 立木昌, 藤田敏三 著, 裳華房. - 「低次元導体」, 鹿児島誠一 編著, 裳華房. - 「磁性と超伝導の物理」, 佐藤憲昭, 三宅和正 著, 名古屋大学出版会. - 「重い電子系の物理」, 上田和夫, 大貫惇睦 著, 裳華房. - 「超伝導ハンドブック」, 福山 秀敏, 秋光 純 編, 朝倉書店. - ''「超伝導現象と高温超伝導」, エヌティーエス.'' ~ などが参考となります。詳細については各書籍中で引用されている論文や和文解説記事を調べることが重要です。 課題によっては書籍にはない新しい研究結果になっていますので、やはり論文を調べることが必要です。 ~ ~ &size(16){''平成25年度以前: 『錫玉を用いたジョセフソン接合作製とマイクロ波照射によるシャピロステップの観測』''}; ~ ~ CENTER: &ref(http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/image/B3/B3_Sn.jpg,240x180); &ref(http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/image/B3/B3_Shapiro.jpg,320x280); ~