&size(20){''課題演習 B3'' }; &size(14){3回生向けの半期の演習実験です。物質中の電子の量子力学的振る舞いを学ぶことを目的としており、その最も顕著な例として、量子現象がマクロなスケールで現れる超伝導について学びます。特に、超伝導の重要な概念であるゲージ対称性の破れや、エネルギーギャップと準粒子励起、量子力学の顕著な特徴であるトンネルスペクトルについて理解することを行います。これらは先端の非従来型超伝導の研究においても重要な概念であり、この先の''卒業研究や大学院での研究において強相関電子系における非従来型超伝導に興味がある学生の方にも研究の一端に触れる良い窓口になる''ことと思います。}; &size(16){''輪講''};~ 週2-3時間の輪講形式の演習を通して、~ &size(14){-- 超伝導現象の基礎};~ &size(14){-- Ginzburg-Landau現象論};~ &size(14){-- 微視的BCS理論};~ について取りあげ学びます。特にBCS理論は超伝導の標準理論であり、エッセンスをしっかり押さえておきたいものです。 &size(16){''実験''};~ 演習の後半では実際に先端の実験装置や極低温での物性測定を体験します。下記は過去の実習例です。 &size(14){''平成25年度: 錫玉を用いたジョセフソン接合作製とマイクロ波照射によるシャピロステップの観測''}; &ref(http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/image/B3/B3_Sn.jpg,240x180); &ref(http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/image/B3/B3_Shapiro.jpg,320x280); ~ &size(14){''平成26年度: 電子ビームを用いた超伝導薄膜接合素子の作製とトンネルスペクトル測定による超伝導エネルギーギャップの直接観測''}; クリーンルームでの先端実験装置を用いた超伝導接合素子作製を行います。作製した接合素子については、3He冷凍機を用いた絶対温度 300 mKまでの温度域においてトンネルスペクトル測定を行い、Dynes関数によるデータ解析やDynesの原著論文を通じて、超伝導エネルギーギャップが形成される様子を調べます。超伝導ギャップ構造は電子対の形成機構と強く結びついており、非従来型超伝導の研究においても非常に重要な概念です。 #ref(http://kotai2.scphys.kyoto-u.ac.jp/image/B3/B3_EB.jpg,320x280,center); ~ これらの実習を通じて凝縮系物理に関する"研究の一端"を体験するとともに、より最先端の研究トピックや実験手法についても織り交ぜていきます。 超伝導という物質科学が示す最もドラスティックな物理現象に関心を持たれた方、是非、当課題演習を選択してみてください。 ~ ~ &size(16){''2015年度 課題演習B3発表について''};~ ~ 1. 輪講で学んだ内容をもとに、イントロダクション (超伝導と準粒子励起)、実験 (薄膜接合素子の作製手法およびトンネルスペクトルの測定)、測定結果、解析・考察、まとめ、のスライド発表をしてください。各自の分担は任せます。 ~ 2. 各自の課題とする物質群について実験ベースで調べ、スライド発表をしてください。特に、その物質群の構造や電子状態がどのような特徴をもっているのかのイントロダクションと、超伝導がどのように考えられているのかについて、スペクトロスコピックな実験 (トンネルスペクトル/分光) を中心に調べ、超伝導ギャップ (準粒子の状態密度/準粒子励起) がどのようになっているかを調べてみて下さい。参考図書や文献についてアドバイスが必要な場合、随時質問してもらって構いません。 ~ 他の聴衆に分かりやすい発表に留意しましょう。特に2 では、次第に教科書にはない研究の世界の話に入っていきます。既に分かっていることもあれば、まだまだ分かっていないこともあります。輪講で学んだ従来型の超伝導と比較して、何が面白くて何が謎なのかを考えてみると良いでしょう。 ~