強く相互作用し合う電子液体では自由電子ガスとは異なる非フェルミ流体的挙動など興味ある現象が 数々観測されます。本研究室では主として強相関電子系の 示すエキゾチックな超伝導状態の研究を電 子輸送現象の実験により行っています。最近の研究で高温超伝導体、有機超伝導体、金属間化合物、 重い電子系化合 物のいくつかでは従来の超伝導体とは大きく異なる奇妙な超伝導状態が実現されてい ることがわかってきました。我々は特に
超伝導の対称性と超伝導準粒子の構造
渦糸量子の電子構造とダイナミクス
渦糸格子の相転移
トンネル効果と量子干渉効果
超伝導プラズマ
の研究を行っています。実験はマイクロ波、超音波、熱測定、超強磁場中の輸送現象、磁気光学効果
、試料の微細加工、トンネル接合作製、中性子回折等を行 い、新奇な超伝導状態の解明を目指します
。なお本研究室は平成17年より新しくスタートした研究室です。
超伝導の対称性と超伝導準粒子の構造
ほとんどの超伝導体ではクーパー対の形状は等方的なs波(図1)です。これに対して異方的超伝導体ではその形状は異方的です。たとえば図2ではd波超伝導体の形状を書いてあります。s波超伝導体は格子振動を媒介として電子が引き合うのに対して異方的超伝導体では電子相関や磁性によって引力が働くと考えられております。超伝導体の研究で最も重要なことはその引力のメカニズムを知ることですがそのためにはクーパー対の形状つまり超伝導のギャップ関数を知る必要があります。図3にこれまで我々の研究室で決定した様々な異方的超伝導体のギャップ構造を示します.
Fig3
渦糸量子の電子構造とダイナミクス
高温超伝導体や有機超伝導体では超伝導の対称性が従来のものとは異なるため磁場を内部に取り込んだ際の渦の内部電子構造も従来のものとは大きく異なることが予想されています。しかしながら現在のところほとんど分かっていません。われわれはマイクロ波伝導度やホール効果の測定により渦糸のダイナミクスを調べ渦の内部電子構造の研究を行っています。
Fig4
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